松島に霊場「雄島」を訪ねる

こんにちは。左大臣光永です。
日曜日の夕べ、いかがお過ごしでしょうか?
本日は前回に引き続いて松島からお届けします。

松島の雄島は、
霊場としても、歌枕の地としても有名な島です。

島内は苔むした仏像や卒塔婆がそこかしこに見え、
中世の霊場の雰囲気があります。

今回はこの雄島を訪ねていきます。

▼音声が再生されます▼

JR仙石線松島海岸駅でおります。

駅には芭蕉の人形と並んで「俳句ポスト」があって、
早くも旅のロマンを、かき立ててくれます。

雄島とは?

右手にマリンピア松島水族館を見ながら進んでいくと、
雄島への入り口が見えてきます。

ここに看板が立っていますので、
うんちくを仕入れることができます。

雄島は瑞巌寺とゆかりの深い霊場です。
全国から僧や修行者がこの島に来て修行をしたということで
中世には「奥州の高野」とよばれました。

1104年伯耆国(鳥取県)見仏上人なる人物がこの雄島に渡り、
12年間一歩も島から出ずに法華経を読誦しました。

またこの見仏上人は鬼神を使いこなし、
空間移動を行う超能力者でもありました。

時の鳥羽天皇は、見仏上人の法力をたたえ、
千本の松の苗を送りました。

これにより島の名が千松島(ちまつしま)となり、
いつしかこのあたりの
海岸一帯を松島、と呼ぶようになりました。

つまり、雄島は松島の地名のもととなった島です。
その後、この島自体は数ある松島の島々の中でも
雄なる島、ということで雄島とよばれるようになりました。

島内にはかつて108の岩窟があったそうですが、
現在残っているのは50ほどです。
島のそこかしこに卒塔婆や苔むした仏像があり、
霊場のおごそかな雰囲気があります。

また歌枕としても有名です。

藤原俊成の歌。

立ち帰り またも見てみん 松島や
雄島のとまや 浪にあらすな

(意味)
寄せては返す波のように、また松島に帰ってきて
この美しい景色を見たいものだ。
雄島の海人の茅葺の小屋を、
その時まで浪で荒らさないでおくれ

後鳥羽院宮女・源師光女の歌

心ある 雄島のあまの たもとかな
月やどれとは ぬれぬものから

(意味)
風流を解する雄島の漁師の袂だなあ。
月が袂に映りこむようにといって濡れたわけではないのに。
まるでそういう風流心で袖を濡らしているように思える

……このような背景を、看板やパンフレットから仕入れつつ、
雄島へ渡る「渡月橋」までの道のりを歩いていくと、

崖が、いきなり左右に迫り!

なんかいきなり、冒険の雰囲気があります。

視界がパッと開けると、もう目の前に、渡月橋がかかっています。

渡月橋は2011年の震災で破壊されたのですが、
2013年3月に再建されました。今は朱塗りの美しい姿を
見せてくれています。

芭蕉と曾良の句碑

元禄二年(1689年)『おくのほそ道』の旅の中で
芭蕉と曾良は塩釜から船に乗って、
ここ松島の雄島を訪れています。

島に入るとすぐに『おくのほそ道 雄島』と書かれた
柱が立っており、わくわく感をかきたててくれます。

道なりに進んでいくと、ありました。
芭蕉と曾良の句碑が!

以前訪ねた時は曾良の句は読めたものの、
芭蕉の句が読めなかったのです。

あれは何と書いてあるのだろう?

長年疑問だったのですが…

なんと、句碑の横に案内板が立ててありました!
(それとも記憶違いで、以前からあったんでしょうか…?)
これでようやく読めます。

朝よさを 誰まつしまぞ 片心 芭蕉

(意味)
朝な夕なに、私は松島の旅に心惹かれている。
まるで、片思いしている相手を待っているような、
そんな気持ちだ。

松島や 鶴に身をかれ ほととぎす 曾良

(意味)
ここ松島ではほととぎすはふさわしい姿ではない。
優美な松島の姿とつりあうには、
鶴の姿でなくってはダメだ。ほととぎすよ、
鶴の衣をまとって、松島にふさわしい優美な姿になってくれという句です。

座禅堂で声を張り上げる

しばらく芭蕉と曾良の句碑をしみじみながめた後、
島一番の高台に登ります。そこに立っているのが、

雲居禅師の座禅堂です。

雲居禅師は伊代出身の僧で、
初代仙台藩主伊達政宗、
二代藩主忠宗の招聘に応じました。

そして政宗の死後、松島に来て瑞巌寺の住持となり、
瑞巌寺中興の祖となりました。

ここはその雲居禅師が、座禅をしていた場所だそうです。

松島湾が一望できます。
いいですねえ。こんな場所で海を眺めおろして
座禅を組んだら、気持ちいいでしょう。

むこうに見える福浦島ののっそりした巨大な姿。
気分いいです。
雄島は観光スポットとしてはそれほど人気が無いのか、
人影もほとんどありません。

大声で、おくのほそ道松島の章を暗誦してきました。

人気の無い景色のいい所を見つけて、声を出す。

気分がいいですよ。

旅先の楽しみは、これに尽きます。

京都では鴨川の土手で大声。
熊本の実家に帰ったら阿蘇の高原で大声。

健康にもいいのです。

雄島の海人の袖だにも…

さて雄島といえば、百人一首90番に、

見せばやな雄島の海人の袖だにも
濡れにぞ濡れし色は変はらず

殷富門院大輔の歌が、欠かせません。歌の意味は、

お見せしたいものです。松島の雄島の漁師の袖でさえ、
どんなに海水に濡れに濡れるからといって、
色が変わってしまうまでは濡れないでしょう。

それなのに私の袖は血の涙で真っ赤に染まってしまいました。

…というものです。

口の中に殷富門院大輔の歌を唱え、唱え、
島の中を散策していると…

なんと!

ほんとにいました。

「雄島の海人(漁師さん)」

が!

あの袖が、浪で濡れて、古い歌の中で、
涙にぬれる袂にたとえられてきた、あれが、
まさに「雄島の海人」かと、しばし感動で、立ちすくみました。

雄島は五大堂や瑞巌寺に比べると人通りは少ないですが、
だからこそ、おすすめです。

歴史的遺物が多く、霊場の雰囲気があり、おごそかな気持ちにひたれます。
松島を訪問した際には、ぜひ行ってみてください。

最後に、

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次回は新選組の続きです。

本日も左大臣光永がお話しました。
ありがとうございます。