ヤマトタケルの伝説の地 醒井を歩く

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こんにちは。左大臣光永です。

先日、ヨドバシカメラのおもちゃ売り場を歩いたら、子供の頃、家族とあそんだ「ダイアモンドゲーム」が売ってました。六芒星型のマップ上にコマをならべて、敵陣に攻め込むゲームです。箱のデザインが、子供時代(昭和50年代)に見たのとほとんど変わりませんでした。古臭くて、懐かしさがこみ上げました。

本日は滋賀県米原(まいばら)市の醒井(さめがい)を歩きます。

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醒井は、旧中山道61番目の宿です。山の湧水を水源とする地蔵川(じぞうがわ)が町を貫いてゆったり流れ、今も宿場町の風情がただよいます。ヤマトタケルの伝説で有名な「居醒(いさめ)の清水」があることでも知られます。

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醒井宿資料館(旧 醒井郵便局)

JR醒ヶ井駅下車。国道21号線を渡り、左折して100メートルほど進むと、

左手に醒井宿資料館(旧 醒井郵便局)。

大正4年(1915)アメリカ出身の建築家ヴォーリズが設計した西洋風建物です。昭和9年(1934)表面をモルタル張りにして改築されました。この先の問屋場(といやば)とあわせて、内部は醒井宿についての資料が展示してあります。

さらに100メートルほど進み、

地蔵川(じぞうがわ)にかかる居醒橋(いさめばし)を渡ると、旧中山道です。

このあたりの水は昔、近くに十王堂があったことにより「十王水」と呼ばれます。

しだいに宿場町の風情が出てきます。

地蔵川のバイカモ

地蔵川には「水の妖精」といわれる梅花藻(バイカモ)が群生しています。

ところどころに白い花をつけた茎が揺れています。

梅の花のように見えるので梅花・藻です。ハリヨという、めずらしい魚が生息することでも知られます。

旧中山道わきの了徳寺には、天然近年物の御葉津附銀杏(オハツキイチョウ)があります。

毎年8月から11月に、葉の表面に銀杏(ぎんなん)が実ります。ふつうギンナンは葉とは別に実りますが、葉の表面に実るのは、めずらしいですね。

加茂神社

旧中山道をさらに歩き、

地蔵川の水源近くまで来ました。

地蔵川のほとりにヤマトタケルの像が立ちます。

右手を上げていますが、戦の指揮をとっている感じではなく「帰ってきたぞ~」とでもいってるような、ほがらかな感じです。

高台の上に加茂神社。

京都の上賀茂神社と同じく賀茂別雷神(かもわけいかづちのみこと)を祀ります。醒井の町と向こうの山々が一望できます。

加茂神社の前に「居醒(いさめ)の清水」。

『古事記』『日本書紀』に、ヤマトタケルノミコトが東国征伐の帰りに、伊吹山の神が白い猪の姿であらわれた。その猪が氷雨(雹)を吐くと、ヤマトタケルは前後不覚におちいった。やっとの思いで山をおり、「玉倉部(たまくらべ)の清水」に到って休憩すると、気分が回復してきた。よって、その清水を「居醒の清水」と名付けたといいます。

そのほか『更級日記』『十六夜日記』『東関紀行』といった古典にも登場します。今も水はこんこんとあふれ出ています。平成の名水百選に選ばれています。

居醒の清水そばに鮫島中将の歌碑。

明治28年(1895)北白川能久親王が台湾に出征した時、熱病に冒され、水がほしいと所望した。その時、そばにつきそっていた鮫島中将は、醒井の水の冷たさを思い出し、

あらばいま 捧げまほしく 醒井の うまし真清水 ひとしずくだに

と詠むと、親王は微笑まれたということです。北白川能久親王はこの台湾出征中に亡くなります。東京の北の丸公園に馬にまたがる像が立っています。

西行水(泡子塚)

旧中山道の入り口まで戻り、駅と反対側の道を100メートルほど進むと、西行水があります。

伝説によると、西行法師が旅の途上、泉のほとりで茶を飲んでいました。それを見ていた茶店の娘がまあなんて素敵な方と、西行にほれました。娘がどうにもたまらなくなって、西行の飲み残しの茶を飲むと、娘は妊娠します。旅の帰りに西行がまた立ち寄った時、娘がわけを話し子を見せると、西行は「もし我が子ならば、泡にかえれ」と祈り、

水上は 清き流れの醒井に 浮世の垢をすすぎてやみん

と詠むと、子はたちまち泡になった。ああまさしく我が子であったよと、この場に塚を立てた、という話です。

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