暗記のコツ

こんちには。左大臣光永です。お盆も近づく昨今、いかがお過ごしでしょうか?
私は先日、実家の熊本から東京に戻りました。空港を降りたとたんに、
涼しさが肌をなでました。ぜんぜん違うんですよ気温が!

東京の夏も暑いですが、熊本ほどではないので、
夏のはじめに熊本に行き、さんざんな暑さを経験するのはいいことだと思いました。
で、東京に戻ってくると、「あれっ涼しいな」と実感する。その実感を胸に、
この夏を乗り切ろうと思います。

さて本日は、いただいたメールにお答えする形で、
「暗記のコツ」というテーマでお話します。

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左大臣ドットコム
光永隆 様

はじめまして。左大臣ドットコムのメールマガジンを購読させて頂いております2子の40代の母です。

突然のメールで大変恐縮ですがぜひご教授願たいことがございます。まだ読み始めて間もないですが、はるか昔に忘れていた人物の名前などなんとなく聞いたことあるなあくらいですが楽しく読ませて頂いています。

以前メルマガで平家物語を暗記しているとお書きになっていらしたことがありますが、そこで質問です。

どうやって暗記されたのですか。少しづつ仕事の合間に暗記するようにしたということですがどうしたら記憶できまたそれを維持することができるのでしょうか。

これからこのような日本の歴史を覚えて子供にも話してあげたいのですが頭にはいりません。子供も少し大きいのでわからないとあまりごまかしがききません。

どのようにしたらこれほどの文章を読み、また一通り記憶できるのでしょうか。若いうちでないと難しいでしょうか。

御社の商品もとても興味があるのですが、たくさんあり、また一つが結構長い時間のようなので買ってもきけるかなあという不安があります。

日本の歴史を最初から一通りみにつける為にはどの順番がよいでしょうか。

以前のメルマガ1月7日の七草の名前のところに書いてあった記憶の仕方についてのお話し、ぜひもう少し詳しく歴史の内容を覚えるにはどのように応用すればよいかアドバイスいただけないでしょうか。

お忙しい所大変お手数ですがお返事頂ければ幸いです。

このようにいただきました。暗記はすべての学習の基本となるものですが、不思議と学校では教えないですね。まずは勉強内容よりも暗記や勉強のやり方を教えたほうが能率的だと思うんですが。

平家物語の暗記ですが、はじめは「祇園精舎」や「那須与一」など、興味のある所から少しずつ覚えていきました。

覚え方

覚え方は、最初は何度も黙読して、ぼんやりとした流れでもいいので、「話の流れ」を覚えます。

10回くらい黙読したらテキストを閉じて、完璧でなくてもいいので「見ないで」暗誦します。

この時、完璧に覚えていなくても、いいんです。

一箇所でもおぼえていたら、その記憶の断片を「捕まえる」感じで、繰り返し唱えて頭に定着させます。

たとえば、

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす

という有名な書き出しをおぼえる時、
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」

しか思い出せず、後半は無理だったとしても、思い出せた前半を
まずは繰り返し
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」
「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」

と唱え、脳に定着させていきます。

最初から一字一句覚えるというよりも、「こうなって、ああなって、結果、こうなった」という話の流れを記憶することが大事です。その点『平家物語』は話が単純で、物事の因果関係がハッキリしているので、覚えやすいです。

どうしても丸暗記しないといけないのは「人名」「地名」などの固有名詞です。これは特に繰り返し読んで覚えます。

たとえば源義経が木曽義仲を攻めるために京都に向かう途中、
宇治川を前にして配下の武将たちに、
さあどうしようと尋ねる場面があります。

「いかがせん。淀・一口(いもあらい)へやまわるべき。
水の落ち足をや待つべき」

どうしたものか。淀・一口へ迂回しようか。
水の流れがおさまるのを待とうかと、義経が配下の武将たちに
たずねている場面です。淀・一口(いもあらい)は地名です。

ここで大切なのは、義経が配下の武将たちに質問しているなあ、という
漠然とした理解であって、「いかがせん」という最初の一句がすぐに
出てくる必要はないです。

まずは「義経が配下の武将たちに質問している」
という場面設定を頭に描いて、細かな言葉は、繰り返し繰り返し
唱える中で、じょじょに脳に刻み込んでいけばよいのです。

そして、最終的に完全に丸暗記できないとしても、
「義経が配下の武将たちに質問している」ということがわかっていれば、
細かいセリフまわしは忘れてしまっても、なんとかなるものです。

どうしたものか。淀・一口(いもあらい)へ向かうべきか。
水の落ち足を待つべきか

などと、細かい言い回しは忘れているとしても、
ちゃんと再生できるわけです。人に語れるわけです。

ただし、「淀」「一口(いもあらい)」という二つの地名を
忘れてしまうと、このセリフは台無しなので、ここだけは、
「淀」「一口」「淀」「一口」「淀」「一口」「淀」「一口」「淀」「一口」
と、しつこく繰り返して丸暗記します。

記憶の維持

繰り返し復習しないと記憶は薄れます。逆に、繰り返し復習さえすれば
記憶は維持できます。なので、「どれだけ多く繰り返し復習するか」が
記憶を維持する鍵になります。

二三回復習して「よし、復習したぞ」という方がいますが、
二三回ではぜんぜん足りません。
100回…200回以上復習してください。

「ゲッ、そんなに無理」

そう思われるかもしれません。しかし、余裕で、できるのです。
どうするのか?

「頭の中だけで復習する」
「速く繰り返す」

これらがポイントになります。

たとえば風呂の中でも電車の移動中でもいいので、
頭の中だけで、昨日暗記した内容を、ぱーーーっと
再生してみるのです。

頭の中だけでが難しいなら、
テキストを見ながらでもかまいません。

この時、声には出さず、
頭の中だけで高速再生することが大事です。

声に出すとたしかに覚えやすいのですが、
10分の文章を復習するのに10分の時間が
必要になり、とても能率が悪いです。

その点、頭の中だけでぱぱぱーーっと再生するなら、
数秒で可能です。

短い時間で再生可能ということは、
繰り返し復習することが可能になります。

たとえば10分の文章を3分で脳内再生し、
それを1時間に20回繰り返すようなイメージです。

こういうやり方で、毎日10分でもいいので
反復復習を行えば、数ヶ月もすれば
たいていのことは人前で講演できるくらいには
覚えられます。

書かない

ちなみに、「書いて覚えろ」と学校で教わったかもしれませんが、
書いて覚えるのは非常に能率が悪いので、やめたほうがいいです。
(漢字の書き取りなどには有効)

「書いて覚える」ことの欠点を言いましょう。

●紙と鉛筆が無いとできない
●手が疲れる
●めんどくさい

特に「めんどくさい」はきわめて重要な問題です。
めんどくさいとやる気が出ず、楽しくないので、長続きしません。

さらに、「書いて覚えること」こそが勉強だ、と思い込んでしまうと、
「書かないと覚えられない」「私は書いてないから、この内容を
覚えられなくて当然だ」という、妙な思い込みにつながり、よくないです。

若いうちがいいか

「若いうちがいいか」ということですが、まったくそんなことは、ありません。
むしろ、年を取っていろいろな人生経験があるほうが、
記憶するには有利です。

たとえば、

天の原 ふりさけ見れば 春日なる
三笠の山に 出でし月かも

という阿倍仲麻呂の有名な歌がありますが、これは遣唐使として中国にわたった
阿倍仲麻呂が、大空の月を見て、ああ…故郷奈良の三笠山に出ている月も、
この月と同じように出ているのかなあ、としみじみ郷愁にふけっている歌です。

この歌をおぼえるのに、「故郷をなつかしむ」という実体験が
ないと、より身にせまったものとして、歌の心を感じることはできないでしょう。

また、実際に中国や奈良に行ったことがあるほうが
より鮮明なイメージが描けることは、言うまでもありません。

「月」という単語一つとっても、かもし出すイメージは
年を重ね経験をつんだほうが、より豊かなものがあるわけです。

このように、自分の人生経験やイメージに結び付けて暗記をするのです。
これは、子供や若い人には難しいことです。

一字一句の丸暗記は子供や若い人にはかなわないかもしれませんが、
自分の人生経験をふまえた、有機的な暗記をするには、
年を重ねたほうが、むしろ有利だといえます。

一通り歴史を身につけるには

一通りの歴史の知識を身につけるには、子供向けの本や漫画が一番だと思います。
特に集英社の「漫画版 日本の歴史」はおすすめです。
(amazonで検索してください)

こういう本のいいところは、歴史の「一般教養レベルの」「通説」を
「わかりやすく」書いてあるところです。

歴史学者の書いた本は、詳しすぎて、
ふつうの人には役に立ちません。

また学者というのは一般に文章が下手なので、
読むのが苦痛になる場合があります。

その点、子供むけの本や漫画は
一般の読者にいかにわかりやすく伝えるか?
とことん考え抜いて、書かれています。

特に「日本の歴史を覚えて子供にも話してあげたい」という目的には、
ぴったりだと思います。

当方では、
聴いて・わかる 日本の歴史~飛鳥・奈良
https://sirdaizine.com/CD/AsukaNara.html
および

平安京と藤原氏の繁栄
https://sirdaizine.com/CD/HeianInfo1.html

を発売中です。サンプル音声を公開中ですので、ぜひ聴きにいらしてください。続編の「院政と武士の時代」は近日発売予定です。

本日も左大臣光永がお話しました。ありがとうございます。