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日本人のDNAに共鳴する、漢詩のリズム

漢詩は中国の文学だと思っていませんか?

もちろん、漢詩の「原文」はそうなのですが、
漢詩を訓読みする「読み下し文」(書き下し文)は
日本で発明された日本独自の文化です。

単に中国語を日本語に訳したというものではありません。

長い時間をかけて作り上げられてきた
日本語としての読み方であり、
日本人の感性を刺激する独特のリズムがあるのです。

このリズムが日本人の感性に合い、
言霊となって私たちの心に響くのです。

言霊なんて言うとややこしいですが、ようは理屈ぬきに、
心に直接、訴えてくる、ということです。

例えば、「少年老い易く、学成り難し」という一説を、
もしあやしい関西弁で「なんぼ若いちゅうても、
歳くうんは、あっちゅう間やで。悪いこと言わん。
勉強はしとくもんや」…
こんなふうにに読んでいたとすれば…
まあ、これはこれで面白いかもしれませんが、

漢籍文化は日本に根付かず、
漢詩を朗唱する詩吟も生れては来なかったでしょう。

「少年老い易く、学成り難し」は「少年老い易く、学成り難し」と読むからこそ、
一瞬で私たちの心を捉え、記憶に残るのです。

それは「少年老い易く、学成り難し」と読む言葉のリズムが
日本人のDNAに共鳴するからだと私は思っています。

まずは漢詩は言霊を感じること。これが第一義です。
漢詩の内容はなんとなく判れば、先ずはそれでいいんです。
こまごまと語句の解釈なんてのは、さらにずーっと後でもいいことです。

あなたも感じておられると思います。
漢詩を現代語に翻訳しても「すばらしい」「びっくりして感動した」
「人生観が変わった」などということは、まず無いでしょう。

どちらかというと、詩の内容よりも、その巧みな表現力・
短い言葉にこめられた情感に感動するのではないでしょうか。
そして、それこそが言葉の持つ力、言霊です。

私は漢詩の朗読を通して、漢詩の言霊の語り伝えていきたいと、強く願っています。

漢詩は古代中国の文芸です。そして、中国語には日本語にはない平仄というものがあり、
言葉そのものにリズム感があり、
中国人はこの「平仄」に言葉の美しさや感動を覚えるのだと思います。

さらに、漢詩の多くは歌うことを前提として書かれた詩です。
もっとも古いものは楽譜は残ってませんから、
どんな曲で歌ったかはわからないですが、
もともと「読む」とか「朗読する」というより
「歌う」ために作られたんです。

なので、漢詩と音楽は切っても切り離せない関係にあります。

テレサテンをご存知でしょうか。
「時の流れに身をまかせ」とか「空港」など。
中年以降の方にはお馴染みと思います。

彼女が「アジアの歌姫」と呼ばれたのは日本でのヒット曲ではなく、
宋の時代の有名な詩にメロディーをつけて歌い、
それが台湾・香港・中国・シンガポールなどの
中国語圏で大ヒットしたからなのです。

まさに、漢詩は音楽と一体になってその魅力を最大限に発揮するのです。

こうした、漢詩と音楽との関係を思い、
漢詩朗読と日本人が作った音楽を融合させることにより、
漢詩の持つ詩情をより豊かに表現し、
言霊を感じていただける方法があるのではないかと模索していました。

そして京都の有限会社イーストタウンさまのご協力のもと
出来上がったのが今回の「詩情を楽しむ漢詩朗読60撰DVD」です。

漢詩朗読の新しい楽しみ方、
いや、朗読と音楽が融合した本来の楽しみ方を是非、
味わっていただきたく思います。

このDVDはメニューページから気に入った詩へ
ジャンプすることが出来ます。

また、テキストはDVDパッケージに記載したURLから
ダウンロードすることができ、
パソコンでテキストを見ながら、DVDを視聴することも出来ます。

もちろんテレビ画面で原文を見ながら、詩情を感じながら、
お酒を飲みながら(秋の夜長に)音楽を聴くように
漢詩を楽しむことも出来ます。

そして、必ずや漢詩の一節があなたの記憶に残り、自然に憶え、
口ずさむことができるようになるはずです。そうなのです、
このDVDには漢文素読の要素が隠し味のように浸み込んでいるのです。

新たな漢詩朗読の楽しみ方を、ぜひ、
お試しください。

以下、サンプル動画です。

▼サンプル1-ダイジェスト版▼



▼サンプル2-曹操「苦寒行」▼



収録した漢詩 一覧

  • 雑詩 【陶淵明】 
  • 歸去來辭 【陶淵明】 
  • 挽歌詩 【陶淵明】 
  • 黄鶴楼 【崔】 
  • 送祕書晁監還日本國 【王維】 
  • 送元二使安西 【王維】 
  • 送別 【王維】 
  • 去者日以疎 【作者不詳】 
  • 春夜 【蘇軾】 
  • 念奴嬌 【蘇軾】 
  • 春望 【杜甫】 
  • 春夜喜雨 【杜甫】 
  • 登岳陽楼 【杜甫】
  • 蜀相 【杜甫】 
  • 秋来 【李賀】 
  • 夢天 【李賀】 
  • 祭猫 【梅堯臣】 
  • 夜聴鄰家唱 【梅堯臣】 
  • 涼州詞 【王翰】
  • 涼州詞 【王之渙】
  • 遊山西村 【陸游】 
  • 書憤 【陸游】 
  • 月下独酌 【李白】 
  • 春日醉起言志 【李白】
  • 黄鶴楼送孟浩然之広陵 【李白】
  • 代悲白頭翁 【劉庭芝】
  • 飲馬長城窟行 【陳琳】
  • 苦寒行 【曹操】
  • 短歌行 【曹操】 
  • 歩出夏門行 【曹操】 
  • 梁甫吟 【諸葛孔明】 
  • 己亥歳 【曹松】 
  • 大風歌 【劉邦】 
  • 垓下歌 【項羽】 
  • 七哀詩 【曹植】 
  • 春暁 【孟浩然】 
  • 対酒 【白楽天】  
  • 憶江南 【白楽天】 
  • 桃夭 【詩経】 
  • 無題 【夏目漱石】
  • 愛酒詩 【坂本龍馬】
  • 偶成 【西郷隆盛】 
  • 馬上少年過 【伊達政宗】 
  • 送夏目漱石之伊予 【正岡子規】
  • 不識庵撃機山図 【ョ山陽】 
  • 本能寺 【頼山陽】 
  • 芙蓉楼送辛斬 【王昌齢】 
  • 出塞 【王昌齢】 
  • 閨怨 【王昌齢】
  • 偶成 【朱熹】 
  • 悼柔石 【魯迅】 
  • 沁園春 雪 【毛沢東】 
  • 梅花落 【鮑照】 
  • 燕歌行 【曹丕】 
  • 詩一首 【寒山】 
  • 渡河北 【王褒】 
  • 登科後 【孟郊】 
  • 七哀詩 【王粲】 
  • 詠史 【左思】 

朗読者のご紹介

平成23年パナソニック映像(株)の社内セミナーで「おくのほそ道」の講演。東京都教育委員会の学習コンテンツシステムにて『平家物語』、『論語』、漢詩の朗読を担当。平成24年4月から9月まで多摩市民大学TCCで「はじめての『平家物語』」講演。10月より「百人一首の歌人たち」講演。マリエッタ(株)スマートフォン用アプリ「華麗なる百人一首」で朗詠音声担当。三省堂(株)学校教科書の副読本付属CDで古典や漢詩の朗読担当。平成25年、広島県海の見える杜美術館にて菅原道真のナレーション担当。

目を閉じれば浮かび上がります。

雄大な黄河の流れが。廬山の切り立った断崖が。
洞庭湖のきらめく湖水が。

そして聴こえます。
蘇州の水路を往く船頭の舟歌が。
また、三国時代の軍馬のいななき、
兵士たちの雄叫びが。

あなたの心はいつしか声に乗って、
はるか昔の中国を、旅していることでしょう。

あなたは時に長安や洛陽といった古都をさまよい、
時に辺境で夜営する兵士たちに交じって酒を酌み交わし、
または万里の長城の向こうに迫り来る北方民族の
軍馬の砂埃を目にするかもしれません。

詩はあらゆる人間感情の万華鏡です。
喜び、悲しみ、怒り、野心、憎悪、希望、執念、嫉妬、
慈愛、友情、郷愁、惜別、挫折、恋愛、克己、達観……

大黄河の流れのように、悠久の歴史の波はあらゆる人間感情を
巻き込んでゆったりと流れていきます。

そして李白や杜甫といった大昔の詩人たちが、
遠い異国の、書物の上の存在ではなく、
生きた、人なつこい笑顔で語りかけてきます。

まるで旧くからの友人同士のように、あなたは
李白や杜甫と杯を交わしていることでしょう。

紙に印刷された無味乾燥の文字ではなく、
声によって命を吹き込まれた、生きた言葉。

昔の人の喜怒哀楽が、よみがえります。
生き生きとあなたに語りかけてきます。

そして四季の美しさ。花を愛で、鳥の声に胸躍る気持ち、
子供の成長を見守る温かい親の心。何千年たっても変わらない人の情。

現代を生きる私たちと同じように
悩み、喜び、和気あいあいと酒を飲み、騒いだ、
人々の営み。人間諸相。

約2時間の音声に、中国3000年の歴史が凝縮されています。
どの時代から聴くかはあなた次第。その時代時代の風景が、人物が、
時に熱く、時に切々と、語りかけてくれることでしょう。

特に、お酒を飲みながら聴くのにピッタリですよ!
時々、私も自分で聴きながら飲んでいます。