イザナキノミコトゆかりの宮崎県江田神社、みそぎ池を訪ねる
本日はイザナキノミコトゆかりの、宮崎県宮崎市の江田神社を訪ねます。
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江田神社
宮崎県宮崎市 阿波岐原(あわきがはら)の
江田神社はイザナキノミコト・イザナミノミコト二柱の神を
まつった神社です。近年はパワースポットとしても
人気だそうです。実際、境内には女性が多く歩いていました。
なかなか神々しい場所で、たしかに何か、ケガレが払われ、
清らかになる感じがしました。
いかにも神さびた雰囲気の一の鳥居をくぐります。
鳥居が大きく反っているのが印象的でした。
江田神社 一の鳥居
二の鳥居までの道を通りつつ、まず実感するのは
南国の木々の、あざやかな緑です。
江田神社 参道
江田神社 参道
熊本の木々の緑とは
あきらかに色のあざやかさ、濃さが違います。
カッと目に飛び込んでくる感じ、
樹木が落とす影も濃い緑で、力をそそがれる感じがします。
二の鳥居をくぐるとすぐ正面が社殿です。
江田神社 社殿
いかにもぶっきらぼうで、賽銭箱がぽつんと
置いあるだけです。しかし、その飾り気が無いところが
いいじゃないですか。何だかんだと、飾り付ける必要が
ない。何も無い、空白の所に神様がすーーっと
ご降臨なさる、ということですから。
社殿に向かって左手にみそぎ池(御池)に続く入り口が
見えるので、森の中に踏み入ります。
江田神社からみそぎ池へ
森の中はどこまで行っても広く、
道は整備されているんですが、原始林の雰囲気が
あります。そこらじゅうで春蝉が鳴きしきり、
またウグイスが鳴いていました。
江田神社からみそぎ池へ
江田神社からみそぎ池へ
春蝉はジワーーーッとおだやかな鳴き声で、
夏の蝉のけたたましさとは全然違い、
おだやかな空気が高まります。
ウグイスと蝉が同じ場所で鳴いているのも、
なんとも奇妙な感じでした。
みそぎ池
森の中をぶらぶら10分くらい歩くと、
パッと視界が開け、みそぎ池に到ります。
みそぎ池
みそぎ池
イザナキノミコトは妻イザナミノミコトを訪ねて
黄泉国に降りていきますが、そこで目にしたのは、
ドロドロの化け物のような、変わり果てたわが妻・
イザナミの姿でした。
「バケモノだ!!」
大慌てで逃げるイザナキに、イザナミはよくも
恥をかかせたわねと、黄泉の国の軍勢を差し向けますが、
イザナキノミコトはヨモツヒラサカを逃げに逃げて、
なんとかようやく、地上世界に戻ってきます。
「ああひどい目にあった。
すっかり体がケガレてしまった。
禊を行わねばなるまい」
そこで筑紫(つくし)の橘(たちばな)の小門(おど)
の阿波岐原(あわきがはら)にいらっしゃいます。
まず身につけたものを次々と捨てると、
それぞれから神々がお生まれになりました。
次にイザナキノミコトは衣を脱ぎ裸になられます。
「さてどこで禊を行うか。上流は流れが速すぎる。下流はおそすぎる。
であれば…」
イザナキノミコトは、ちょうど流れのいい中流でざぶりと水につかり、
ゴシゴシと体を洗いました。すると、
また多くの神々がお生まれになりました。
最後にイザナキノミコトが左目を洗うと光り輝くアマテラスオオミカミが、
右目を洗うと清らかで威厳ただようツクヨミノミコトが、
鼻を洗うととたくましいスサノオノミコトがお生まれになります。
「おお!すばらしい御子たちが生まれたものじゃ。
まことによし」
イザナギはこの三柱の神の誕生を、大変喜ばれ、
天照大神には高天原を、月読尊には夜の国を、
スサノオノミコトには海原を、
それぞれ支配させることにされたのでした。
…
という『古事記』の物語に見える
筑紫(つくし)の橘(たちばな)の小門(おど)
の阿波岐原(あわきはら)」が、
宮崎県日南市の、江田神社わきにある
「みそぎ池(御池)」です。
なかなか広い池で、一面をスイレンの葉が覆っていました。
そこかしこでは亀が休憩し、また、一羽のサギが
たたずんでいました。
みそぎ池
みそぎ池
面白いことに、数匹の亀とサギが一緒になって
じーーっと一方を向いて、動きませんでした。
みそぎ池
日光の方角に傾いていたのかもしれないですが、
お昼のお祈りをしているようで、一種神々しい感じでした。
イザナキノオオカミがご降臨されたんでしょうか。
みそぎ池のそばには、「阿波岐原 みそぎ御殿」という
小さな神社があります。
みそぎ御殿
アマテラスオオミカミ、ツクヨミノミコト、イザナキノミコト、
イザナミノミコトをはじめとする神々をまつってあります。
面白いことに、ふつう神社に参拝する作法は
二拝・二拍手・一礼(にはい・にはくしゅ・いちれい)ですよね。
このように三回以下の拍手を打つものを
「短拍手・短手(みじかて)」といいます。
一方、
出雲大社・宇佐八幡宮の四回、
伊勢神宮の八回のように
四回以上拍手を打つものを「長拍手・長手(ながて)」とよびます。
ここみそぎ御殿は伊勢神宮から
御霊をいただいた神社ということで、
伊勢神宮と同じく二拝・八拍手・一礼の作法となっています。
みそぎ御殿
ただ失礼ながら、八回の拍手は、かなりうるさい気もします。
「もう普通でよか!うるそうてかなわん。
賽銭だけ置いて、おとなしゅう帰れっ。
ぱしぱしぱしぱし…碁打っとるんやないんぞ」
などと、イザナキノオオカミがおっしゃっている場面を、
不謹慎ながら想像してしまいました。
いただいたお便りより
左大臣光永さん:
こんにちは。
私は日本語を勉強している中国人です。最近「伊勢物語」を読んでいますが、
いろいろ分からないところがあるので、
先日、朗読音声をダウンロードさせていただいて、
本当にありがとうございました。すごく助かりました。
素晴らしい朗読だと思います。日本語はまだ下手ですので、もし失礼な言葉があったらごめんなさい。
もう一度、ありがとうございました。
…と、いただきました。
ありがとうございます。
『伊勢物語』は日本人にとっても難解な部分が多いのですが、
何度も読んでいると、少しずつあっ、こういう意味かな、
この気持ちはわかるなと、面白さが出てきます。
ぜひ楽しみながら、何度も読んでみてください!…
私も現在、中国語の勉強を
しているところです!お互いにがんばりましょう!
本日も左大臣光永がお話しました。
ありがとうございます。
次の旅「山幸彦の神話ゆかりの宮崎県青島を訪ねる」