あらためて益なき事
こんにちは。1月最後のひととき、いかがお過ごしでしょうか?
私は昨日、東京多摩永山公民館で『徒然草』のお話をしてきました。
今回はじゅうぶん練習ができたので、余裕をもって話せました。
会場の窓から見える多摩の景色は、まだ雪が残っていて、さむざむとしていました。
本日のメルマガは、昨日のライブ録音です。『徒然草』の中から、
キラリと光る名文句のいくつかを、お楽しみください。
▼音声が再生されます▼
それと、次回は、新商品「鎌倉と北条氏の興亡」の
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こちらもお楽しみに。
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あらためて益なき事は、あらためぬをよしとするなり。
第百二十七段
【現代語訳】
改めて益の無いことは、改めないことを良しとするのである。
鳥羽の作道は、鳥羽殿建てられて後の号(な)にはあらず。昔よりの名なり。元良親王、元日(がんにち)の奏賀の声、甚だ殊勝にして、大極殿より鳥羽の作道まで聞えけるよし、李部王(りほうおう)の記に侍るとかや。
百三十二段
【現代語訳】
鳥羽の作道は、鳥羽殿が建てられて後の呼び名では無い。昔からあった名である。元良親王が、元日の賀詞(がし。祝詞)を奏上する声が、たいへん立派であったので、大極殿から鳥羽の作道まで聞こえたいということが、李部王の日記にございますとかいうことです。
人の終焉の有様のいみじかりし事など、人の語るを聞くに、ただ、閑(しづか)にして乱れずと言はば心にくかるべきを、愚かなる人は、あやしく異なる相を語りつけ、言ひし言葉も、ふるまひも、おのれが好むかたにほめなすこそ、その人の日来(ひごろ)の本意(ほい)にもあらずやと覚ゆれ。
この大事は、権化の人も定むべからず。博学の士もはかるべからず。おのれたがふ所なくは、人の見聞くにはよるべからず。
百四十三段
【現代語訳】
人の臨終の様子の立派であった事など、人が語るのを聞くと、ただ、静かで乱れなかったと言えば奥ゆかしいのに、愚かな人は、不思議で変わった有様を語り添え、言った言葉も、ふるまいも、自分が好む方向にほめなすのは、その人の日頃の意思でもあるまいと思われる。
この死という大事は、神仏の化身として生まれてきた人も判定できない。博学な人も予測できない。本人が日頃の意思に沿っていれば、それでいいのであって、他人の見聞きする所で臨終の良し悪しが決まるわけではない。
明雲座主(めいうんざす)、相者(そうじゃ)にあひ給ひて、「おのれ、もし兵杖(ひょうじょう)の難やある」と尋ね給ひければ、相人(そうにん)、「誠にその相おはします」と申す。「いかなる相ぞ」と尋ね給ひければ、「傷害のおそれおはしますまじき御身にて、かりにも、かく思(おぼ)し寄りて尋ね給ふ、これ既に、その危ぶみのきざしなり」と申しけり。はたして、矢にあたりて失せ給ひにけり。
百四十六段
【現代語訳】
明雲座主が、人相見にお向かいになって、「私は、もしかしたら武器によって殺傷される危険があるだろうか」とお尋ねになったところ、人相見は、「本当に、その相がございます」と申した。「どんな相だ」とお尋ねになったところ、「武器で危害を加えられるような恐れもないはずの御身でありながら、かりそめにも、このように思われてお尋ねになったこと。これが既にその危険の兆候です」と申した。はたして、矢に当たってお亡くなりになった。
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